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「ヒト幹細胞」というキーワードを一度は聞いたことがあると思います。
しかし、その言葉のみが独り歩きし、実際にどういう成分なのか、どのように作用し、どのような効果があるのか等、漠然としている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回、パリと東京を拠点に活躍する気鋭の美容家・小西俐舞ナタリーさんがアンチエイジング株式会社の代表 野中秀訓さんに、ヒト幹細胞について美容家の立場から色々とお話を伺いました。※文中敬称略

野中秀訓 Hidenori Nonaka

大手精密機器メーカーの韓国法人立上げのため1993年に渡韓、帰国までの10年間を同法人代表として経済成長著しい韓国経済の第一線で活躍。2005年に独立以降、日韓ビジネスのスペシャリストとして各種プロジェクトに関与。2008年、幹細胞培養液の世界的パイオニアであるCELLINBIO社と出会い、幹細胞培養液の素晴らしい可能性とバイオ創薬開発プラットフォームを活用したバイオアクティブ原料に魅了され、2012年にアンチエイジング株式会社を設立。

小西俐舞ナタリー Konishi Lima Nathalie

日仏ハーフの海外美容家。大手出版社の美容誌を経て独立。日本や海外の美容誌やウェブサイトをメインに、取材の現場で得たビューティメソッドや、フランスの最新美容情報などを中心に執筆中。また、日常に美しいものや心地良いものを取り入れる『Bien-Etre (心身美容)』を提唱しており、美容セミナーや化粧品コンサルティングをはじめ、ラジオ出演などのメディア活動も積極的に行っている。

再生医療の技術から生まれた
化粧品原料ADSC-CM

ナタリー:
ここ数年でさまざまなヒト幹細胞培養液を配合した化粧品が発売されるようになりました。化粧品原料としてのヒト幹細胞培養液は、どのような背景から生まれたのでしょうか。
野中:
最初に再生医療の現状についてご説明します。ES細胞、iPS細胞という単語を目にした事があると思います。これらは、再生医療において、大きな可能性を秘めているものの倫理的な問題や遺伝子の問題などで、実用化までに未だ時間がかかると言われています。一方で脂肪組織由来の成体幹細胞を使用した再生医療は既に実用化が進んでいます。これは自分の細胞そのものを使用しますのでES細胞やiPS細胞と比較して生体適合性が高く、かつ倫理的、遺伝子的な問題もクリアしているためです。
ナタリー:
成体幹細胞を使用した再生医療は、乳房の再建やスポーツ選手の膝軟骨再生などで利用されているものですね。
野中:
そのとおりです。その他に幹細胞そのものではなく「幹細胞培養液」を使用した再生医療があります。これは幹細胞を培養する際に、幹細胞が分泌する成分を大量に含んだ培養液を使用します。その培養液には、組織を構成するコラーゲンやヒアルロン酸やサイトカインなど多種多様なタンパク質等の成分が含まれ、その中には従来の化粧品には無かった新たな成分も数多く含まれていることが解っています。
これらの成分の組織再生等の働きはアンチエイジング化粧品の求める機能にとても良く合致します。この幹細胞培養液の技術を応用して開発した化粧品成分が、当社が提供するADSC-CMという脂肪組織由来の「ヒト幹細胞培養液」です。

細胞を活性化することで肌を再生する成分
ADSC-CM(脂肪組織由来幹細胞培養液)

ヒト幹細胞培養液
ADSC-CM

最も安全性が高く
実用化が進んでいる

幹細胞は入っていない

細胞外マトリックス(ECM)
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸など
生理活性成分
リガンド、ビタミン、酵素など
  • シワ改善・防止効果
  • 創傷治癒効果
  • ホワイトニング効果
  • 発毛・増毛効果
  • 抗酸化作用

●細胞外マトリックスとは…細胞を取り囲っている成分のこと。タンパク質をはじめとした体の構造をつくっている成分などが多数含まれる。

●生理活性成分とは…生体内のさまざまな生理活動を調節したり、影響を与えたり、活性化したりする成分のこと。

●リガンドとは…特定の受容体(レセプター)に反応を示す物質のこと。その中でタンパク質で構成された成分をサイトカインと呼ぶ。表皮細胞や線維芽細胞の増殖を促し、皮膚のターンオーバーを促進させるリガンドであるEGFなどが代表的である。

サイトカインの中には様々な種類の成長因子(グロースファクター)が豊富に含まれている。
幹細胞培養液ADSC-CMは、シワ改善防止、ホワイトニング効果などアンチエイジングに適した画期的な成分である。

ADSC-CMを使用した
線維芽細胞の増殖促進効果試験

ADSC-CMを使用した線維芽細胞の増殖促進効果試験の結果を示す棒グラフ

[線維芽細胞増殖効果試験の写真]


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  • 50%

(HDF-neo, 48hr)

「ADSC-CM」を線維芽細胞に48時間処理した後、細胞増殖率を測定した結果、濃度依存的に細胞の増殖を促進することが確認された。

ナタリー:
ADSC-CMの原料として使用する幹細胞はヒトから採取されるわけですが、幹細胞を提供するドナーに対してはどのような検査をおこなっているのでしょうか。
野中:
ドナーは20代から30代前半の健康体の女性から選定します。まずは、ドナーがウィルスや細菌に感染していないか、慢性疾病(アレルギー)などではないかなどの適合検査を実施します。ドナーが適合検査にパスすれば、クリーンルームでドナーの皮下脂肪組織を採取し、幹細胞だけをフィルタリングして半年間凍結保存します。
ナタリー:
なぜ半年間も凍結保存するのですか?
野中:
その半年間にドナーに潜伏している病気が発症する可能性もあります。つまり潜伏期間リスクを回避するためです。そのため半年後にドナーの再検査を行い、問題無いことが確認できたら半年間凍結していた幹細胞を使用して培養を開始します。
ここからさらに検査は続きます。ドナーから提供を受けた幹細胞を培養してできた培養液の構成成分の検査とGLP検査を行います。
化粧品でGLP検査を行うケースはほぼありません。
GLP検査のコストも一回につき数千万円かかります。
それだけ特殊性の高い原料といえます。
このGLP検査をクリアした安全な幹細胞を使ってGMP(製造・品質管理の国際基準)に基づいたクリーンルームで幹細胞培養液を製造します。
その後に製造ロットごとにウィルス検査、細菌検査等の最終検査を経て出荷に至ります。
ナタリー:
幹細胞培養液を化粧品原料として製品化するにあたっては膨大な手間とコストがかかるということですね。しかもGLP検査まで行うとは驚きです。逆に言うとGLP検査をパスしているので、一般的な化粧品原料と比較しても安全性が高いと言えますね。

細胞活性化スイッチの
役割を担うレセプターとリガンド

ナタリー:
植物細胞の成分を使用した化粧品でも、ヒトの細胞に対して同様の命令が下されるのでしょうか。
野中:
植物の細胞とヒトの細胞とでは命令系統が全く異なるため、植物のものではその効果はほとんど期待することができません。ヒト由来(ヒト幹細胞培養液)を使用することで、初めて人間の細胞にスイッチを入れることができるわけです。
この細胞が活性化することによって、真皮では線維芽細胞を増殖・活性化し、丈夫なタンパク質が作り出されます。さらに表皮では表皮幹細胞に表皮細胞を量産させて、正常なターンオーバーへと導き肌を再建するのです。さらに良いことに肌組織の再建に伴い、より肌細胞が活発化していくという副次的な効果もあります。
ナタリー:
従来の化粧品成分は洗うと落ちてしまいますが、ヒト幹細胞培養液が細胞のスイッチを一度入れてしまえば、細胞自体が目を覚まして活性化サイクルに入るので、その機能が長持ちするということですね。
野中:
細胞の壊れた箇所に別の細胞が移動(マイグレーション)し修復するといった効果も確認できています。これは驚くべき現象で、EGFやFGFといった成分単体では見ることができません。培養液の中に含まれる様々な成分が作用しあって、このような効果を生み出していると言われています。

細胞活性化における重要ポイント
レセプター(鍵穴)とリガント(鍵)

細胞には特定の機能をスタートさせるレセプターという鍵穴のようなものが数多く存在する。このレセプター(鍵穴)にリガンドという鍵の役割をする成分が結びつくと、細胞核内の染色体にあるDNAから遺伝情報(遺伝子)が呼び出される。その遺伝子を元に体中から集められたアミノ酸を結合することでタンパク質が作り出される。

幹細胞培養液によって
もたらされる化粧品の転換点

ナタリー:
今日お話を伺うまでは、単純に新しい成分が登場したという印象でしたが、ヒト幹細胞培養液は化粧品のこれからの方向性を示す革新的な成分の登場と言えますね。
野中:
昔のスキンケアは、ヘチマ水などの天然成分で表皮の水分、油分を補うことが中心でした。1960年ごろからは化学成分が多く使用されるようになり、使用感は良くなったものの長期的には肌にダメージを与えるのでは?と言われるものもありました。さらに2000年頃からは肌老化に対して、成分を補うという流れに変わってきます。コラーゲン、ヒアルロン酸等の成分をいかに浸透させるかの技術開発が盛んになりましたが、これも「補う」ことを目的とした対症療法的な処置でしかありません。再生美容の分野では「肌老化の根本原因=細胞の不活性」を改善することで肌を若々しい状態に再生するという次世代のスキンケアがすでに始まっています。
幹細胞培養液はいままでの化粧品の「あり方」を変えてしまうほどイノベーティブな存在であることは確かで、化粧品の歴史の中でひとつの転換点になり得ると思っています。
ナタリー:
お話を聞けば聞くほど素晴らしい成分ということが理解できました。その効果を発揮するための浸透性についてはどうなのでしょうか。
野中:
ADSC-CMは成分として単体で配合することはなく、リポソーム化したSC-MAX5.2という3種のミクスチャ原料として化粧品に配合されます。リポソーム化した理由は浸透性を担保するだけではなく、幹細胞培養液中のタンパク質成分を長期間安定させる、酸化させない、他成分からの影響を受けにくくするために隔離するなどがあります。
ナタリー:
リポソーム化する際のカプセルにはどのような素材を使用しているのですか。
野中:
良い質問です。リポソーム化することによって、奥まで浸透するため肌に悪影響を与えない素材を吟味しなければなりません。SC-MAX5.2は、様々なテストとノウハウの蓄積から大豆由来の水添レシチンを採用しています。実は同じ水添レシチンでも様々な種類が存在し、中には細胞に悪影響を与えるものもあるのですが、SC-MAX5.2で採用した水添レシチンは、カプセル自体が良い働きをする素材をスクリーニングで厳選して使用しています。

幹細胞培養液が実現する
これからの根本療法

従来のスキンケア商品は、減少したものを補填しているにすぎず「肌老化の根本原因=細胞の不活性」という根本原因の解決には至っていなかった。最新の再生美容においては、この根本原因へのアプローチが既に始まっている。真皮幹細胞に線維芽細胞を増産させ、線維芽細胞に丈夫なタンパク質を、増産させる。さらに表皮幹細胞に表皮細胞を増産させターンオーバーを正常化させることで、活性サイクルに入った細胞は自らSOD(抗酸化酵素)や成長因子をも増産し始め、持続的な活性サイクルに入ることで組織の再生を促すことが既に可能になっている。

消費者の安全・安心を
第一に考え配合認定制度を導入

ナタリー:
今年からADSC-CM配合製品の認定制度を導入されたそうですが、どのような経緯からなのでしょうか。
野中:
ヒト幹細胞培養液は、化粧品原料として非常に大きな可能性を秘めています。今後は市場も拡大の一途をたどっていくでしょう。当社以外の原料メーカーからもヒト幹細胞培養液が化粧品成分としてリリースされています。しかし、多くのメーカーが参入するに従い、安全・安心を度外視したコスト最優先のヒト幹細胞培養液が出てくる可能性もあります。ヒト幹細胞培養液は従来の化粧品原料とは異なる特殊な原料のため、厳格な検査・管理基準が設けられているのは先にご説明したとおりです。そこで、これらの厳密な基準をクリアした、ヒト幹細胞培養液「ADSC-CM」配合商品だけに与えられる認定ラベルの提供を開始することにしたのです。
当社はヒト幹細胞培養液のパイオニアとして、正しいヒト幹細胞培養液の理解と消費者への安心・安全の提供を大きな課題と考えています。
ナタリー:
認定ラベルは、ADSC-CMの配合濃度別(1%、3%、5%、10%)に4種類に区分されていますが、何か理由があるのでしょうか。
野中:
配合濃度を分かりやすくするためが第一ですが、同時にアテンションラベルとしても機能することで、エステサロン様や販売店様で販売しやすくなると思います。
当社としては推奨配合濃度を1%以上としていますが、それ以下の配合濃度では効果が無いということではありません。配合する他原料とのマッチングや製品のマーケティングにより、あえて高濃度にしない場合もあるのです。

ADSC-CM配合認定ラベルの種類

厳格な検査・管理基準をクリアした、ADSC-CM(ヒト幹細胞培養液)配合の製品にだけ貼付される配合認定ラベル。
配合濃度別に4種類に区分される。ヒト幹細胞培養液の正しい理解と消費者への安心・安全の提供を目的としている。


ホログラム
ADSC-CM
10%以上

ゴールド
ADSC-CM
5%以上

シルバー
ADSC-CM
3%以上

ホワイト
ADSC-CM
1%以上
ナタリー:
私もADSC-CM1%配合の商品を使用し始めて、少し経ちますが高い保湿効果を実感しています。また、ファンデーションの使用量も減りました。使用方法ですが幹細胞培養液配合のセラムはローションの前に塗布したほうが良いと聞きましたが。
野中:
洗顔後は水分の吸収率が一番高いためローションの前にセラムの使用を推奨する場合もありますが、その商品のコンセプトやテクスチャにもよるため、ローション、セラムの順番のほうが良い場合もあります。
ナタリー:
幹細胞培養液配合の化粧品は何歳くらいから使用するのが良いのでしょうか。
野中:
先ほどもご説明したとおり、不足したものを補うという従来の化性品機能とは全く異なり、細胞を活性化させるためのものですから若いほど良いですね。目安としては、第一のお肌の曲がり角と言われる25歳くらいから使用していただくイメージでしょうか。
ナタリー:
年齢によって、幹細胞培養液の配合量から商品を選ぶというのはどうなのでしょうか。
例えば、30代なら1%、40代なら3%など。高濃度の商品は、それなりの価格になるのでユーザーとしては気になるところです。
野中:
同じ年齢でも個々の肌質は大きく異るため一概には言えませんが、短期的に結果を求めるならば濃度が高いほうが良いと言えます。ただし、化粧品は継続して使用するものですから、2年後、10年後と将来を見据えてベストな肌コンディションを維持するということであれば、配合濃度はそれほど気にする必要はありません。また、濃度が倍になったからと言って、効果が2倍になるという訳でもありません。
エステサロンでは短期集中のメニューとして、施術に高濃度のものを使用し、その結果を維持するため、ホームケア用に低濃度のものをご提案するという使い分けも面白いと思います。
ナタリー:
今日は興味深いお話を沢山聞けて大変勉強になりました。野中さん、ありがとうございました。

3種ミクスチャ
リポソーム原料SC-MAX5.2

SC-MAX5.2は、ADSC-CM(ヒト幹細胞培養液)とPROLIPHIL-F4、VITA-HA400の3種をリポソーム化したミクスチャ原料。

皮膚専用に開発されたビタミンC 誘導体。ビタミンCに低分子のオリゴヒアルロン酸を結合させ安定化。肌にあるエステラーゼ(酵素)で結合が解かれるので、化粧品処方においても確実なアスコルビン酸デリバリーが可能になっている。コラーゲン生合成促進、線維芽細胞増殖、抗酸化、美白などの機能をもつ。
線維芽細胞の老化に伴うコラーゲンの発現低下に相関関係をもつ酵素、プロリダーゼの発現低下に着目したペプチド成分。プロリダーゼの発現を促進することで、老化によって衰えたコラーゲンリサイクル機能を活性化。優れたコラーゲン生合成促進効果と線維芽細胞増殖効果を発揮する。

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