時代に合った新たな鍼灸の確立を

Harriet Ginza
総院長 関口 賢 さん

名門・市立船橋高校でサッカー漬けの日々を送った後、東京メディカル・スポーツ専門学校鍼灸師科へ進学。2007年に卒業後、中国式鍼治療専門店ハリー（HURRI）の王尉青先生に憧れ、弟子入り。
2010年、関口鍼灸治療院HEAL the WORLDを銀座に開業し、その後、名古屋店、六本木店をオープン。現在は「関口鍼灸治療院HEALthe WORLD」を「Harriet Ginza」へとリニューアル。
歌手・モデル・タレントなどのボディマネジメント・ダイエットアドバイザーとしてサポートし、プロサッカー選手、プロゴルファーのトレーナーとしても活躍。のべ約7万人の臨床経験を生かし、時代に合った新たな鍼灸の確立をめざす。

健康や治療を目的とされてきた鍼灸は、美容やダイエットのニーズも求められ、今では『美容鍼灸』として美容業界でも急速に成長している。そこで美容と健康、鍼灸とエステにおける今後の展望などについて、今話題の「ＨａｒｒｉｅｔＧｉｎｚａ」総院長で鍼灸師の関口賢さんにお話を伺った。

鈴木：今では「美容鍼灸」という言葉も浸透していますが、関口先生はいつ頃から鍼灸に美容の要素を取り入れはじめられたのですか？

関口：鍼灸専門学校を卒業後、王尉青先生に弟子入りし、鍼灸師として従事していたのですが、痛みや麻痺の治療を行なっていた中で、「肌の調子も良くなった」というお声をいただいたことがきっかけです。断食プログラムを取り入れた美容向けの提案も、その頃から構想していました。鍼だけでも美容の効果はありますが、結果が出た後に良い状態を継続し続けるとを考えると、断食の要素も取り入れた方が良いと思ったのです。

鈴木：そこから関口先生考案の「月曜断食」に繋がったということですね。著書の「月曜断食」も20万部のベストセラーを記録されたとのこと、おめでとうございます。

関口：ありがとうございます。師匠である王先生が消化器系に重きを置かれていて、断食の研究もされており、鍼灸のキャリアを積みながら、健康面ではやはり食の管理が大事だということも学びました。体質改善でもダイエットでも、鍼だけの治療より断食を組み合わせた方が結果に歴然の差が出たのです。そこで独立開業した際、鍼×断食のスタイルを考案しました。私の治療院では、鍼と３日間の断食、良食のアドバイスなどトータル的な治療を行なっていて、多くの患者さんが成果を出されています。中には１か月で７〜10キロ体重が落ちる人もいるほどで、治療が成功し、お悩みが解消した後も断食を続たいという方や、コンスタントに通院ができない遠方の方向けにも提案できるものをと、治療院のハウツーを形にしたものが「月曜断食」です。

鈴木：「月曜断食」はその名のとおり、月曜日に断食することですが、週に一度、というわかりやすさが良いですね。

関口：とにかく続けていかないと意味がないので、シンプルでつらくならないように、と考えた結果、「月曜断食」にいきつきました。断食というと「キツそう」とか「面倒くさそう」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、月曜断食の場合、土日は好きなものを食べてＯＫですし、お酒だって飲んでも大丈夫です。気をつけることは断食をすると胃腸が本来の働きを取り戻し、食べた物を吸収しやすくなるので、睡眠明けで胃が空っぽの状態にある朝や断食後の火曜に体に良いものを摂ること。それが体質改善に繋がるので、断食後の良食期間が大切なのです。火曜はヨーグルトや野菜中心の料理を意識的に選ぶようにし、胃腸に負担のかからない消化に良い食事をすることが大事です。
特に、ヨーグルトは腸内の善玉菌を増やす働きがある乳酸菌が豊富なため、断食後や朝におすすめです。

鈴木：制限が多いと余計に欲しくなるもので…なかなか難しいですが、糖質制限がなく好きなものを食べて良い日がある、というのは続けやすそうですね。

関口：断食がつらいと感じる方は、完璧主義者の方が多いと思います。治療を受けている方の中でも、「断食中なのに食べちゃった・・・もう終わりだ・・・」と落ち込んでしまう方もいますが、「食べてしまったけれど消化の良いものを選べたから意識が変わってきた証拠だなぁ」とか、30％のできなかったことにフォーカスせず、その他の70％できたことにフォーカスして続けていくことが重要なのです。目標を決めて集中的に「ここは絶対守って頑張る！」とゴールを決めた方はやりぬいて欲しいとは思いますが、完璧にやる必要は無いんです。月曜断食を基本とした食生活や食の選び方へと意識的になれることがポイントです。今年の２月に発売される第二弾の著書「月曜断食ビジュアルＢＯＯＫ」では、料理家の方とコラボし、断食後の回復食におすすめのレシピなどもご紹介しています。

鈴木：食材ががっちり決まりすぎたダイエットだと、飽きがきてしまいそうですが、食事選びやレシピアレンジに広がりがあると楽しみながら実践できますね。エステとも親和性がありそうです。

関口：エステでは、痩身メニューで来られた方に「月曜断食」を取り入れた場合、体重の変化の他、代謝が向上し、老廃物を流しやすくなり、肉質も柔らかく変化していきます。そのため、マッサージではツボに指が入りやすくなって施術が楽になって、結果も出しやすくなるのです。導入サロン様からのお声では、肌の活力も戻ってくるので、「更に手をかけてあげたい！」と美意識が高まり、お客様からフェイシャルトリートメントを追加で希望されるケースも良くあるそうです。

鈴木：結果が出れば、お客様にも喜んでいただけますし、来店リピートに繋がって良いことづくめですね。女性の社会進出と共に、抱えるストレスや身体の負荷など、美容目的だけでなく、身体をリセットする場所として今後ますますエステや治療院が必要とされてくる時代が予想されます。その中で、今後のビジョンをお聞かせください。

関口：「日本人の身体を良くしたい」というのは鍼灸師を始めた頃から掲げている目標です。すでに高齢化社会を迎えた日本では、医療費負担が問題になっています。悪くなってから治療をするのではなく、ますます個人の健康意識や予防対策が必要となってくるので、自分に合う行きつけのサロンや治療院を見つけ、リフレッシュしながら未来のための予防をしていく人が増えれば良いなと思います。そのため、治療院や鍼灸で得たものを、エステで応用できるよう、商品開発やセミナーなどを通じて、エステに携わる方々ともノウハウを共有できるような形にしていきたいと考えています。

いろいろなダイエット法を試してきたけれど、何度も挫折してリバウンド!そんなふうに感じているすべての人への最終回答が、のべ7万人を治療し、断食指導をしてきた鍼灸界のカリスマ・関口賢先生が提唱する「月曜断食」。週1日、月曜日に何も食べず、〈良食→美食→断食〉のサイクルを繰り返すという、誰でもコスト0ですぐに取り組める超簡単な体質改善プログラムです。

関口賢著『月曜断食ビジュアルBOOK』文藝春秋刊
定価（本体1100円+税）　2月6日発売